冬の早朝に見つける自然の魅力

こんにちは。自然-ナチュラル-の中で生きていることを常に実感していたい派のshioriです。

冬はつとめて
雪の降りたるは
いふべきにもあらず
霜のいと白きも
またさらでもいと寒きに
火など急ぎおこして
炭もてわたるも
いとつきずきし
昼になりてぬるく
ゆるびもてゆけば
火桶の火も白き灰がちに
なりてわろし

突然ですが、これはかの有名な枕草子の第一段に登場する、冬の一節です。
学生時代に暗記したよ!という方も多いのではないでしょうか。
枕草子の第一段は、春夏秋冬それぞれについて清少納言が好きな部分が述べられており、
日本の学生さんの多くは必ずそれらを現代語訳させられた経験があると思います。
筆者も例に漏れずその経験があるのですが、その姿を傍で見ていた筆者の母がこんな事を言ったことがありました。

「枕草子は冬だけ共感できないんだよね」

不思議だと思いました。
母曰く、春〜秋に語られているものは「確かに素敵だな」と共感できるのだそうですが、
でも冬だけはわからないと。
しかし筆者は冬の魅力がわかるような気がしますので、今回は自分なりに冬の魅力をプレゼンしてみたいと思います。

 

枕草子を現代語訳してみよう

ではまず、この一節の意味を振り返るところから始めましょう。
これは古文の授業ではないので、言葉を足しながら分かりやすく意訳してみます。

冬は早朝がいいと思う。
雪が降る様は言うまでもなく素晴らしいけれど、霜が降りて辺りがとても白くなっている様も素敵。
そうでなくても、とても寒い時に慌てて火を急いでおこして、炭を持って移動するのもしっくりくるよね。
昼になって寒さがだんだんと和らいでいってしまうと、火桶の火も白い灰が多くなってしまうし美しくないと思うな。

だいたいこんなところでしょうか。
さて、この文から清少納言は冬の早朝のどんなところが好きなのかをもう少し掘り下げてみましょう。

平安時代の冬は、当然ガスストーブも石油ストーブもエアコンもありません。
だからこそ冷え切った早朝に「早く暖まりたい!」といそわそわした気持ちで炭に火をつけ、火鉢を持って締め切った部屋に駆け込むのはなんとなく楽しく感じるものでしょう。
その様子を見ている側も「ああ、冬だなぁ」と実感するかもしれません。

冬といえば!な雪や霜の景色ももちろんですが、こういった身近でささやかな日常の一コマで季節を感じ愛する感覚は、現代にも通じるものだと思います。

 

 

冬の早朝を楽しむ心

前章で書いた通り、清少納言はどうやら冬は早朝が好きだと感じているようです。
現代の人の多くは冬の早朝なんて「絶対に布団から出たくない」という葛藤と戦っているものですが、彼女はそうではなかったようですね。
平安時代の人々は早朝からぬくぬくの布団を抜け出す秘技を身に着けていたのでしょうか……。

しかし現代に生きる筆者も、冬の早朝には好きだと思う面があります。

冬の早朝の空気を楽しむ

冬の空気というのはともかく寒い。
その一言に尽きるとは思いますが、実は時間帯によってその趣は異なります。
真夜中は凍てつくような緊張感に包まれる寒さ。
朝は満員電車や通勤カーのラッシュに影響されたようなギスギスした寒さ。
どちらも人に優しい寒さとは言えませんが、その間に挟まれた早朝の空気だけは静謐さを湛えてとても心地よいのです。
着込んだ防寒着の僅かな隙間から肌に染み渡っていくような寒さは、この時間帯にしか味わえません。
全てが眠っていた時間が過ぎて、意識を澄ませばわずかに生物たちの気配を感じられるのが、また何とも愛おしいものですよ。

冬の早朝の光を楽しむ

早朝といえば、日の出前の周囲がまだ薄明るい時間帯が一番の魅力です。
特に冬の早朝は日の出自体が遅いので、特別に努力しなくてもふとその時間帯に目を覚ましてしまうことがありますね。
そんな時に遮光カーテンの隙間からそっと窓の外を覗いてみると、そこにはよく知っているようでどこか知らない場所のような、不思議な景色が広がっています。
地球の向こう側からこぼれてきた太陽の光が持つ独特な爽やかさが、見慣れた景色の印象をちょっとだけ変えてくれるのです。
その光が描き出す幻想的な世界はとても貴重に感じますよ。

冬の早朝の色を楽しむ

冬はただでさえ自然の持つ色の数が少なくなる季節。
さらにその早朝ともなると、薄暗い光が照らし出せる色はもっと少なくなります。
まるで古ぼけて退色した写真のような世界が実際に目の前に広がるのです。
また霜が降りた朝には、景色がどことなく白いベールをまとってキラキラと輝きます。
そうした景色をしばらく眺めていると、太陽が昇るにつれ世界がじんわりと色づいていくのを目の当たりにできることでしょう。

 

 

自然を楽しむ心は身近なところから

いかがでしたでしょうか。
平安時代、大自然を肌で感じていた清少納言の頃から約1,000年。
人々を囲む景色はだいぶ様変わりしましたが、それでも今回紹介したような自然の魅力はそうそう変わっていないように思えます。
今も昔も、私達は自然の中に生きているのですから。
日々に追われてつい目を伏せてしまいがちな方も、たまにはちょっとだけ顔を上げて、いつもは見逃してしまいがちなモノを見てみませんか?