こんにちはガーデンプランナーの長谷川です。
最近休日に神社仏閣を巡ることが多いのですが、この時期は品評会に出展された『菊』が参道脇などにずらりと展示されているのをそこかしこで見かけます。
『菊』と聞くと仏花としてお供えするお花のイメージが強く、見て楽しむとういイメージがあまりない方も多いのではないでしょうか。
しかし、菊といっても様々な品種があり特に和菊(古典菊)は昔から日本各地で品評会が行われるほど愛好家がたくさんいます。
近年では、伝統的な菊を再認識してもらうべく現代アートとコラボし注目されているものもありますし、おしゃれなカフェの入り口に飾ってあったりと、今までの古典的なイメージも大切にされながらも新たな魅せ方が模索されている花(植物)の一つです。
そんな『菊』のご紹介です。
和菊の種類(代表種)
美濃菊
岐阜県南部にあたる美濃地方で発達した品種です。岐阜県羽島市の太田正吾氏が長い間かけて品種改良に取り組み、現在の形になったとされており、蓮に似た大輪を誇るとともに、大変珍しい丸花弁を有します。
江戸菊
東京(江戸) で発達した中輪の菊で、一度平らに咲いたのち花弁が立ち上がり、ねじれたり、折れ曲がったり、種類によってさまざまな変化をするため、 狂い菊、芸菊とも呼ばれます。
伊勢菊
伊勢菊は伊勢地方(現在の三重県松坂)などで発達した菊で、伊勢三大珍花の一つです。花びらが平たく、咲きはじめは縮れています。開花するにしたがって花びらが伸び、垂れ下がって満開となります。古来は、座敷に正座して鑑賞する習わしがあったそうで、花茎が多品種よりも短めです。
嵯峨菊
野菊を元に、京都の嵯峨野で育成された品種です。嵯峨菊は上から見下ろしたときに美しく見える菊とされており、咲きはじめは花びらが乱れ咲きに開きますが、徐々に花びらがよじれて毛筆のように立ち上がり、全部立ちきって満開となります。最も古い系統をひく古典菊として日本三大名菊でもあり、伊勢三大珍花の伊勢菊も本種から作られたものです。
肥後菊
江戸時代の肥後(熊本県)藩主の細川重賢(ほそかわしげかた)公の園芸奨励によって栽培が始められ、発達した古典菊です。肥後菊の栽培は藩士の精神修養と位置付けられ、清廉なこの菊を例に武士道の意義を説いたといわれています。肥後椿、肥後山茶花、肥後花菖蒲、肥後朝顔、肥後芍薬とともに「肥後六花」のひとつに数えられています。
菊のサイズによる分類
大菊
花の直径が18~20cm以上の和菊を指します。見た目に重厚感があることから、1つの茎に1輪の花を残す「三本仕立て」で楽しまれることが多いです。花の形によっていくつかの種類に分けられます。
● 厚物(あつもの):花びらの先端が中心に向かって盛り上がっているもの
● 厚走り(あつばしり):厚物と似た姿で、外側だけが細長く垂れ下がったもの
● 大掴み(おおつかみ):花の上部分が両手を掴んだような形をしており、外側の花びらは垂れ下がっているもの。奥州地方で発達したことから、「奥州菊」とも呼ばれる
● 管物(くだもの):管状の花びらが花火のように放射線状に広がっているもの。管の大きさによって「太管」「間管」「細管」の3つに分けられる
● 一文字:一重咲きで、皇室の紋にもなっていることから「御紋章菊」とも呼ばれる
中菊
花の直径が9~18cmの和菊を指し、仏花や切り花に重宝されます。古くは江戸菊に限定される呼び名でしたが、現在は古典菊のほか、スプレーマムなどの洋菊が含まれることもあります。産地それぞれの個性豊かな花姿が魅力です。
小菊
花の直径が9cm未満の和菊を指します。鉢や花壇で育てられるほか、ミニ盆栽など色々な仕立てで楽しめることが特徴です。
アートとしての和菊
近年、昔からある伝統技法を現代アートとコラボさせて魅力を再発信させる取り組みが増えています。
菊の生産技法の一つに、二本松市で作られている「多輪咲」があり、こちらも最近現代アートとコラボし注目が集まっています。
「多輪咲」とは菊栽培の職人が一本の茎を枝分かれさせ何本もの花を咲かせる生花(根っこ付)です。
ぱっと見、切り花が何本も刺さったアレンジメントに見えますがちゃんと鉢に植えられた一本の茎から全ての花茎が枝分かれしています。
『DESIGN ART TOKYO 2018』にて [千輪咲〜ひとつながりの驚異] と題して二本松市の多輪咲が展示されており、私も初めてそこで多輪咲に出会ったのですが圧巻でした。
番外編:洋菊(マム)
「マム」と呼び方を改めた、和菊とはまた違ったイメージの洋風な可愛らしい品種の菊もたくさん出回っており、切り花や、庭植え用の苗も人気です。
スプレーマムやポンポンマム等、花束や玄関先の寄せ植えやアレンジメントにピッタリな品種です。
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