こんにちは!ガーデンプランナーの栁澤です。
12月に入り、また一段と寒くなってきました。お休みの日はこたつでぬくぬく…なんて方も多いのではないでしょうか?暖かい家の中で過ごすのも幸せですが、お散歩に出かけて季節の移り変わりを感じるのもオススメです。
そこで今回は、普段はあまり目に入らないけれど見つけると心温まる、そんな植物をご紹介したいと思います。
目次
下をよ〜く見て歩こう
まんまるピンクのコンペイトウ!?ヒメツルソバ
街の花壇や、道のコンクリートの端っこを探してみましょう。
アンティーク色の葉っぱに明るいピンクの小花をつけた、ヒメツルソバの絨毯が広がっているのが見つけられるかと思います。
ヒマラヤ原産の多年草で、比較的ファンの多い野草です。
繁殖力が強いのでお庭のグランドカバーとして使われることもあり、葉っぱは春夏から秋にかけて紅葉してオシャレな色に変わります。
ヒメ=小さな、ツル=つる状に伸びる、ソバ=蕎麦の花や葉に似ている植物、がヒメツルソバです。
下の写真は春夏の姿で、クローバーのように葉にV型の模様があるのがまた可愛いです。
押し花にして楽しむのもいいかもしれないですね!
冬も深まると枯れてきてしまいますが、根っこは土の中に残るので春にまた顔を出します。
場所を覚えておくと春のお散歩の楽しみも増えますね。
赤い小さなしっぽがたくさん!イヌタデ
次は、街路樹の足元を見てみましょう。
こちら側に向かって小さな小さな赤いしっぽが揺れているのが見えるかと思います。
あるいは芝生の広場に雑草としてまぎれているかもしれません。
これが、「赤まんま」と呼ばれることもあるイヌタデです。
俳句では「アカノマンマ」として秋の季語になるほど、古くから日本で親しまれている野草です。
昔はよく赤い花を赤飯に見立てておままごと遊びをしていたそうですが、今はどうでしょうか?
またイヌタデの大きい仲間でオオケタデというのもあり、お庭のアクセントになります。
ピンクの花と赤い実の華やかなコントラスト!サンジソウ
コンクリートの隙間から伸びることもある、日当たり好きなサンジソウ。
ハゼランとも言われます。
開花期は6〜9月で、午後の3時にピンクのお花を咲かせるのでサンジソウと呼ばれます。
…昔の人の観察力はすごいなぁと思わされる命名ですよね。
(ちなみに午後の2時に花を咲かせるのは、ヒツジグサという睡蓮の仲間です)
南米原産なので湿気に弱いですが、日当たりの良いところで育てることもできます。
季節も感じられる上に、おやつの時間まで演出してくれる植物をお庭に迎えてもいいかもしれないですね。
まんまる明るい葉っぱ!ナガエコミカンソウ
街中の花壇や植え込みの足元を見てみましょう。
膝下くらいの高さに、この時期珍しい明るいグリーンの葉っぱが規則正しく並んでいるのが見つかるかと思います。
これがナガエコミカンソウで、繁殖力が強くあちこちで土を覆っています。
ナガエ=花がつく柄の部分が長い、コミカン=小さいミカンのような実をつける植物ということで、特徴がそのまま植物名になっています。
小さな小さな実は、葉っぱの上に乗るようにしてつき、淡い黄色に色づきます。
また、夜になると葉を閉じるのも特徴です。
もともとは日本の在来植物で「コミカンソウ」というのがあり、こちらは実がツブツブでミカンのようにオレンジ色に色づきます。
古くから親しまれ、盆栽として出回ることもあります。
ナガエコミカンソウに生息地を取られつつあるのは寂しい現状ですが、見かけたらこちらも心が温まる植物として覚えておきましょう。
↓ナガエコミカンソウ
↓コミカンソウ
木の上の方をよ〜く見てみよう
まるで真っ赤なブドウ?イイギリ
今度は下ではなく、上の方に目を向けて行きましょう。
公園に入ると、赤い実のなる木がいくつか見つけられるかと思いますが、ブドウの房のようになる木は中々ないので見分けやすいかと思います。
イイギリは、冬に葉を落とした後も綺麗に実を残すのが特徴の高木です。
葉も大きくハート形なので、紅葉シーズンにも見応えがあります。
一見、桐の仲間と思われがちですが、幹が桐に似ているだけでどちらかというと柳の仲間です。
イイ=飯=大昔は大きな葉っぱにご飯を包んで利用していた、ギリ=桐に似ている植物という名前の由来を持っています。
イイギリは葉っぱが大きいだけでなく枝が大きく横に広がるため、お庭には向かないと言われています。
また赤い実は鳥の大好物のため、庭先で争いごとが起きてしまいそうですね。
ぜひお散歩で見つけに行きましょう。
宝石のような紫の実の集合!ムラサキシキブ
住宅の外構や公園、庭園などで、はたまたブドウのような小さな粒々の実を見つけてみましょう。
葉と実が明るく綺麗に映えるのは9〜10月ですが、落葉樹なので紅葉と一緒に楽しむのもまたオススメです。
よく見つけられるのは、背の低い「コムラサキ」で紫の実が行儀よく並びます。
庭園などにある背の高いところに紫の実をつけるのが「ムラサキシキブ」で、少し実が小さくまばらにつくのが特徴です。
名前の由来は、皆さんお察しの通り和歌の紫式部!かと思いけや、諸説あるようです。
ただ、この名前のおかげで覚えやすく馴染みやすい植物のひとつとなったことは確かでしょう。
大きな大きなエンドウ豆?ネムノキ
落ち葉のたくさんあるような広場へ行ってみましょう。
葉がほとんど落ちてしまった枝の中に、茶色の大きなエンドウ豆が見つかることがあります。
高〜いところにあるので、首を傷めないようにご注意を。
ネムノキはマメ科の落葉樹で、涼しげな葉と甘い香りのピンクの花が特徴です。
またオジギソウのように、夜になると葉が閉じて眠るような状態になるので「眠りの木」=ネムノキと言われています。
また同じく冬にエンドウ豆のような実をつける木はいくつかあります。
丸い葉をつけるエンジュの実は5~8㎝ほどで平たく、ミモザの名で有名なギンヨウアカシアの実は立体的で螺旋状につきますが、お目当てネムノキの実は10~15㎝ほどで大きく平たいのですぐに分かります。
あの実は美味しいのかなぁなんて、つい考えてしまいますね。
小さい秋〜小さい冬、み〜つけた?
いかがでしたでしょうか。
まだまだご紹介したい植物はたくさんありますが、またの機会のお楽しみ。
紅葉が終わったあとは緑がなくて寂しいと思われがちですが、意外な発見が待っていたりするのが面白いのです。
季節の移ろいを感じさせてくれるお気に入りの植物を見つけたら、お庭に迎えて育ててあげるのも楽しみ方のひとつです。
ぜひ暖かい服装で、お出かけしてみてください。