こんにちは。
みなさん、
フェアトレード
という言葉ってご存知ですか。
発展途上国と呼ばれる国を中心に、生産者さんへの技術指導や必要な道具や場所などの支援を行うなど、単に公正な価格での「ものの売買」だけではなく、その先の地域や国を巻き込んで健全な生産サイクルが継続的に機能することを目指す活動なんです。
今日はインナチュラルでお洋服や雑貨のファンも多いsisam工房さんの2018秋冬展示会にバイヤー神谷がおじゃましてきました。
エレベーターを降りると、そこはもうsisamの世界!
柔らかな日差しに包まれた展示会場
日々お買い物する中でエコやエシカル、サスティナブル、フェアトレードなど様々な言葉を聞く機会がありますよね。
世の中的になにかいいことなんだよね?とは思いつつ、いまひとつ自分の中にストンと落ちていない部分もあり。
フェアトレード商品を取り巻く環境や、
フェアトレード商品はどのような場所で作られているの?とか
フェアトレードの商品を買うことで何ができるの??など。
諸々お伺いしたい思いが膨らみすぎて、展示会でお伺いする際になんとかお話をお伺いできないかお願いしたところ、
sisam工房の代表・水野さん
よりお忙しい中、快く了承頂くことができました。
前編では水野さんがどうしてフェアトレードという活動に興味を持ったのか、sisam工房を立ち上げるきっかけなどのいきさつを語っていただきました。ぜひご覧ください。
シサム工房 代表取締役
水野 泰平
1969年生まれ
大学在学中に映画で見たアパルトヘイト問題に衝撃を受け、途上国と呼ばれる国々の貧困問題と人権に興味を持つ。
雑貨バイヤーを経て1999年京都にて「シサム工房」を創業。
シサムとはアイヌ語で良き隣人という意味。
sisamの考えるフェアトレード
始まったきっかけは、純粋な怒り
神谷:国内で物づくりをする以上に、文化も言葉も違う海外しかも発展途上国と呼ばれる地域での活動は大変な部分が大きいように感じます。
そのような中でなぜフェアトレード活動に取り組もうと考えられたのですか?
水野:そうですね。もともと学生時代より新聞を端から端まで読むのが好きだったり国際情勢に興味はありました。
そんな中で「サラフィナの声」という反アパルトヘイトを題材にした映画を観て、肌の色が違うということだけで、こんなにも差別があるということを知り、衝撃と怒りを感じたんですね。
なんだか大人の世界(社会)って怒っちゃダメな感じありますよね?喧嘩するのは大人じゃない、みたいな。
でも、これは明らかにおかしい、怒っていいだろう、と猛烈に感情が沸き起こったのです。
神谷:とても共感できる部分があります。怒りの感情が全てネガティブな訳ではないですよね。
水野:そう。だから映画が終わってすぐに映画の関係者の方に何かできることないですか?って連絡したりしましたね(笑)
だから、何がきっかけでフェアトレードに関わるようになったかっていうと「世の中の理不尽に対する怒り」なのかな。
フェアトレードの持つイメージを変える
水野:10年位前のフェアトレード商品って、ボランティアやチャリティに近いで「貧しい国の可哀想な人々が作っています」というイメージが強かったんですよ。
自分も心のどこかで貧しい国の人々=可哀想な存在だと捉えていた部分がありました。
だけど、学生時代は時間ができるとバッグパッカーとしてインドやアフリカ、東ケニア、南アフリカなど各地をまわる旅をして、現地の人と触れ合う中で、映画を見たときの感覚とはまた違う想いが湧き上がってきて。
どんなに厳しい状況の中でもたくましく生きることを諦めない姿勢や、弾ける笑顔があったり、当たり前の日常が当たり前に営まれることを目の当たりにして、可哀想なイメージは吹っ飛んじゃった。
ネパール・マハグチにて。笑顔が印象的。
神谷:私も以前は貧しい国の人々というと、なんとなく悲しそうな顔を思い浮かべていました。でもsisamさんの商品をお店で扱うようになって、クスッと笑えるようなユーモアたっぷりなアクセサリーやマスコット、素朴で力強い商品を見て、全然辛い感じや悲しい雰囲気がなかったんですよね。
それが、どんな人が作っているんだろうと考えたきっかけでした。
そもそも発展途上国っていうけれど、比較対象があるからそう位置付けられるだけで、実際その場所にいる方にとってはそれが普通で日常ですよね。
シサムさんの商品はインド、ネパール、タイなどの各地で作られ、中にはスラム街に工房があり作られる商品もあるとお伺いしました。
またまたイメージの話で恐縮ですが、スラムって治安が悪い、怖いイメージなんですが実際はどんな場所で働く方々の雰囲気はどんな感じなんでしょうか?
水野:場所はね、小さな家がひしめくように立っていたり、共同トイレだったりっていう感じですよ。
人はね、すっごくパワフル。
インドのスラム街に女性ばかりうわーっていっぱいで物づくりをしている工房があるんだけど、熱気ムンムンで。
インドって階級制度が根強かったり、女性の権利が低いんですよ。
工房にいる女性達もそうした境遇で、更にはシングルマザーだったり学校や学ぶ機会が与えられなかった人も多いのだけど、みんな自分が働いて得るお金で生活することに対して誇りを持って胸を張って生きていますよ。
お互いに発信して吸収できるような「場」を作りたい
神谷:水野さんは、シサム工房を設立される前に、エスニック雑貨とレストランのオーナーに出会われて、雑貨のバイヤーを経験されていらっしゃいますよね。
それは未来を見据えてのことだったのでしょうか。
水野:そんなに計画的でもないのですが(笑)
大学在学中は、NGOの海外現地調整員になりたいとも考えていた部分もあったり、どんな道があるのか考えてました。
そうした時に、まだ何ものでもない自分が社会に出る時に、最低限社会の仕組みというものを理解する必要があるかなと考えて、
よし、会社という組織に入ってみようと考えていた際に、偶然上記オーナーと知り合い、4年間いろいろと貴重な経験をさせて頂きました。
働く中で、ふっと10年後の自分がどうなりたいかを考えた時にね。
自分が大好きな味わいのある空間の中で、フェアトレードの商品を提案できたならば、チャリティとちょっと混同されがちなフェアトレード活動も、可哀想な作り手さんというイメージも一新できるんじゃないかと考えました。
なぜなら、それまでのフェアトレード商品は、どちらかというともののクオリティやデザインとかよりも、「大変な環境で作っています」という部分に焦点が当たりがちだったから。
神谷:なるほど、「貧しい国の人々」が作っているので買ってもらえるとありがたいです、的な感じですね。
水野:そうですね。なんだかそれだとフェアトレードの相手とも、お客さまとも対等でない気がしました。
なので、自分たちが本当に良いと思うものを一緒に作り、それを伝える場が欲しいと思ったんですよね。
店っていうのとはちょっと違う感覚で。
いろんな人やモノやコトが集まって「これいいよ」ってものやアイディアを発信したり、吸収したりできるような場所が作りたいと考えていましたね。
展示会場でもアンティークのトランクやBOXが味のある雰囲気を演出
後編ではフェアトレードのパイオニアであるシサムが目指すフェアトレードの未来についてお話し頂きます。
ぜひ続けてお読みください!