こんにちは。この世で最も菌類が苦手なshioriです。
最近秋も深まってきて、ようやく皆様の中の「〇〇の秋」にもエンジンがかかって来た頃ではないでしょうか。
色んな「〇〇の秋」の中でもよく言われるのが「食欲の秋」ですね。
もうこの言葉を聞くだけで秋の味覚が次々に頭をよぎっていくものですが……
この言葉が流行る頃、毎年話題になるのが「毒キノコ見分けられない問題」です。
目次
毒キノコ見分けられない問題とは。
まずはじめに、秋になるとなぜ毒キノコがこんなに話題になるのかという話ですが。
もちろんその答えはキノコ狩りに行く人が圧倒的に増えるからです。
一般的にキノコの旬は秋と言われており、そのために秋になるとキノコ狩り人口が激増するのが毎年恒例の現象ですよね。
そうしては採取した中に毒キノコが混ざっていて食中毒になってしまう。
そう、ほとんどの人は自分が採ってきたものが毒キノコだと気づいていないんです。
実は素人にとってキノコ狩りこそが高精度な罠☠。
これがいわゆる「毒キノコ見分けられない問題」です。
既知のキノコは約2500種。そのうち食べられる種類は?
そもそも日本で既に存在を知られているキノコは約2500種と言われています。
なかなかの数がありますよね。
全部食べてみた〜い!というキノコファンは多いと思いますが、ちょっと待ってください。
食べられるキノコはその内たったの約300種しかないんです。
え、それでも十分多いじゃないかって?
ちょっと冷静になってみましょう。
食べられるキノコが約300種。たしかに約300種類もの味わいを楽しめるのは魅力的です。
でも引き算したら?
既知のキノコ約2500種 − 食べられるキノコ約300種 = 食べられない(毒)キノコ約2200種!
2500と2200を比べてみてください。ご理解いただけるでしょう?
ほぼ全部毒キノコです。
まだ未知のキノコはどれだけあるか知ってますか?
もう知られているキノコのほぼ全部が食べられないキノコだった。
それだけでも衝撃でしょう。
でももっと衝撃なのは、まだ知られていないキノコが既知のキノコの2〜3倍はあると言われていること。
既知のキノコ約2500種 × 2〜3 = 未知のキノコ約5000〜7500種‼
ありすぎです。
果たして山に入ったアナタが出会うのは、約300種ある食べられるキノコと、約2200種ある毒キノコと、約5000種ある食べられるか毒なのか誰も知らないキノコ、いったいどれに思えますか?
毒キノコ見分けられない問題の真相
なんでこんなに未知のキノコが存在すると言われているか。
もちろん人が入れない場所に未発見のキノコがいっぱいあるだろうという予想はあります。
しかしそれだけでなく、最大の問題はキノコ同士が似すぎていることもなんです。
正直な話、既に発見されているものの中にもそっくりすぎて専門家でも見分けがつかないキノコは多々あります。
なので単純にまだ専門家が見分けられていないだけで本当は別の種類のキノコが相当数存在するだろうと言われているのです。
専門家でも見分けられないキノコが山のように存在する。
それじゃあキノコ狩りに行った素人が毒キノコを採ってきてしまうのも仕方ないですよね。
また多少危機感のある素人さんでも「とりあえず片っ端から採って帰って、専門家に見てもらえば大丈夫だろう」と思いがちですが、山盛りであればあるほど見分けるのは専門家でも困難になりますので、気をつけましょう。
中にはカケラを食べただけで死ぬ程の猛毒も紛れています。
絶対食べちゃダメ!食べられそうに見える猛毒キノコたち
それではここで食べちゃいけないキノコたちをご紹介します。
なおもう見るからに毒キノコ‼な見た目のキノコたちは、ここでは紹介しません。
絶対勘違いするだろう、人畜無害な見た目のキノコたちだけをご紹介します。(それでも一部です)
オオワライタケ(似ている食用キノコ:コガネタケ)
大笑茸 / Gymnopilus junonius
8~11月頃に広葉樹に発生します。時々針葉樹にも生えます。
全体的に黄色みがかった褐色をしていて、大ぶりで美味しそうに見えますが、実際は汗臭さに近い臭気と強烈な苦みを持っています。
地域によっては食用としても利用されていますが、調理を失敗すると危険です。
食べたい場合は既に調理されたものを入手したほうが良いでしょう。
オオワライタケの中毒症状
命の危険までは到りませんが、食後、幻覚・興奮の症状を引き起こします。
過去の症例には “意気揚々とやたら愉快となって笑いまた幻覚を見たが、呼吸器・循環器・消化器には異常がなく、症状は8時間ほど続き失禁もあり、眠って起きた後は平素に戻っていた” というものもあります。

似ている食用キノコ:コガネタケ
By GgXTcp4RE8U1wqmo – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
スギヒラタケ(似ている食用キノコ:ヤキフタケ)
杉平茸 / Pleurocybella porrigens

By 東電脳公司 – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
晩夏から秋にかけて杉・松などの針葉樹の倒木や古株に群生します。
縁は内側にまき、白色の傘に無柄で、形状は耳形から扇形に成長していくのが特徴です。
古くから食用として親しまれてきましたが、実は近年毒キノコであることが判明しました。
おじいちゃん・おばあちゃんが食べられると言っても信用しないようにしてください。
スギヒラタケの中毒症状
下痢や腹痛などの消化器系の中毒症状はありません。
それどころか、食べたあと2日から1ヶ月程度はなんの症状も現れません。
その後、初期症状として意図しない筋肉の収縮や弛緩を繰り返すようになったり、発音が正しく出来なくなる、下肢が麻痺するなどの症状が起こります。
最終的には意識の混濁や昏睡にまで到り、死亡例も多くあります。
タマゴテングタケモドキ(似ているキノコ:タマゴタケなど)
卵天狗茸擬 / Amanita longistriata
夏から秋にかけて、広葉樹のある林の地上に発生します。
ぽつんと一つだけの場合もあれば、点々と群生する場合もあります。
ごく幼いつぼみは白い外被膜に全体が包まれて保護されており、卵状の塊として地中に生えます。
すこし成長すると外被膜の先端が裂開して柄が伸長しはじめ、成熟すると全体の高さは5-10cm程度に達してかさも水平まで開きます。
食毒不明とされる事が多いですが、立派に毒キノコです。
タマゴテングタケモドキの中毒症状
食後6〜12時間程度で激しい嘔吐・下痢・腹痛などに襲われます。
さらに腎・肝臓障害を起こすことも明らかになっています。
韓国産のタマゴテングタケモドキ持つ溶血作用は沸騰したお湯でよく茹でれば消えるそうですが、他の中毒症状は消えないのでやっぱり食べてはいけません。
カキシメジ(似ているキノコ:シイタケなど)
柿占地 / Tricholoma ustale

By James Lindsey at Ecology of Commanster, CC 表示-継承 3.0, Link
秋頃に、クヌギ・シラカシといった広葉樹林や、マツなどの針葉樹林の地上に発生します。
かさは3〜8cm程度で色は栗褐色及び薄い黄褐から赤褐色まで幅があります。
とても地味な見た目で、地方ごとに別名もあるほど(オショウモタシ、カキモタセ、コノハシメジ、マツシメジなど)広く分布しています。
晩秋に発生する個体は無毒で美味だとも言われていますが、この説には根拠がありません。
毒キノコであることには根拠があるので、時期を問わず食べないようにしましょう。
カキシメジの中毒症状
食後30分〜3時間で頭痛・腹痛・嘔吐・下痢に襲われます。
症状の重さは食べた量により変動します。
似ている食用キノコ:シイタケ
By Ezonokuma – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
ドクヤマドリ(似ているキノコ:ヤマドリタケ)
毒山鳥 / Neoboletus venenatus
夏から秋にかけて主に亜高山帯や北方の針葉樹林に発生します。
地上に生えるタイプで、単生または少数が群生する傾向があります。
過去の日本においてはこのようなイグチ型のキノコに毒は存在しないとも言われていましたが、
ドクヤマドリを食べて亡くなった人の名にちなんだ別名(タヘイイグチ)も持つくらい、古くから知られる毒キノコです。
ドクヤマドリの中毒症状
胃腸毒、腎毒性を持つとされています。
少量食べただけでも5時間ほどで下痢・腹痛・嘔吐・発熱などに襲われるうえ、
腎臓に障害を起こすこともあると言われています。
似ている食用キノコ:ヤマドリタケモドキ
By I, Rude, CC 表示-継承 3.0, Link
ツキヨタケ(似ているキノコ:ヒラタケなど)
Omphalotus japonicus
晩夏から秋にかけて、おもにブナの倒木・切り株、あるいは枯れ木などの上に群生します。
全体に地味な色調を持ち、毒々しく見えない外見と不快なにおいや味がないため無害なキノコに見えますが、
キノコ中毒の原因として日本最多と言われる程ポピュラーな毒キノコです。
ツキヨタケの中毒症状
食後30分~1時間程で嘔吐・下痢・腹痛などに襲われます。
幻覚を伴う痙攣が起こる場合もあります。
似ている食用キノコ:ムキタケ
By Qwert1234 – Qwert1234’s file, CC 表示-継承 3.0, Link
まだまだあります毒キノコ
ここまで6種類の毒キノコを紹介しましたが、もちろん間違いやすい毒キノコはまだまだ無数に存在します。
毎年素人の皆さんを相手に猛威を振るっているキノコも多数ありますので、また機会があったら紹介しますね。
とにかく秋の味覚・キノコを安全に楽しく味わうポイントは自分で採らないことと言えるでしょう。
それでもキノコ狩りを楽しみたい場合は、欲張って採りすぎず・できれば栽培されたキノコを狩って・専門機関の判別を必ず受けるようにしましょうね!