「仕事と家族の両軸の成功者を目指して」|母の日ストーリーvol.6 冨山倫宏

お母さんに「想い」を届ける日。 外に出られないこんな時だからこそ、「母の日」に何を贈ろうか、何を伝えようか考えてみて欲しい。あなたはどんな想いを伝えたいですか?母の日の過ごし方を考えるきっかけになればと、素敵な母の日ストーリーをご紹介します。 第6回目となる今回は、都内で多数の美容室を経営するBelleグループの代表、冨山倫宏さんにお話を頂きました。


仕事と家族どっちなの?と問われ、仕事を選んでしまう母の背中を見て育った

僕は鹿児島県にて、自宅で開業している美容師の家庭で生まれて、美容師である母親の背中を見て育ってきました。だからといって子供の頃から美容師を目指していたというわけでは一切なく、幼少期に野球をはじめてから、高校卒業まで本気で野球一辺倒でマウンドに立っていました。

そして本気で野球で飯を食っていくということを子供ながら腹に決めて生きてきたということを明確に覚えています。

僕の両親は、子供のやりたいことをやらせてくれるタイプの親でしたので、僕のやりたかった野球を応援し続けてくれていました。

ただ、ワーカホリックであった母親は、例えば正月でもお客様のために店を開け、休みもあまり多くとらないタイプでした。なので、僕はしっかり母親が自分自身の面倒を見てくれたような記憶はもしかすると他の家庭よりも少し薄く、いつも慌ただしくしている母親を見届けていただけでした。

今でいうところの「ワーカホリック」という言葉がまさにマッチしそうなパワフルな母親で疲れた顔も、疲れた話もあまり口に出すこともなく動き続けていた印象があります。

実は、息子の成功をこっそり喜ぶ母を知っている

現在では80名を超えるスタッフたちに恵まれてまさに理想の美容師キャリアを掴んだ冨山氏

僕は専門学校卒業後、ヘアサロンに務めた後に足早に都内で独立をすることを決めました。そして今では法人化され、現在では6店舗、そして約80名の社員を抱える規模感に成長してきました。今のこの僕の状況を成功と言えるのかは人によって判断基準が違うのでわかりませんが、少なくとも母親は一切の興味がないかのように僕に接してきます。(笑)

 高校を卒業してから美容師を目指そうとしたのも、野球で飯を食っていこうと思った情熱があることをきっかけに切れてしまい、そして次に情熱を向ける先は何かと考え抜いた先に自分で目指したのが美容師でした。なので、両親から「いずれ美容師を目指せ」などと言われたことは無く、どちらかというと「やりたいことを自由にやりなさい」という家庭であったため、息子の僕が野球の次に、人生を懸けてやりたいことは美容師だ、という意思決定をしたことに対しては、母親は内心喜んでいたらしいです。

 ですが、母親は僕に「美容師を目指してくれて嬉しいよ!」などといった言葉をかけてくれることはありません。労いの言葉をかけられることも、感謝の言葉をかけられることも、そういえばあまり記憶の中には無かったと思います。

 そのため、今美容業界でどんなに僕が活躍しようとも母親は僕に「すごいね」などということばをかけてはくれません。というより一切仕事の話はお互いしないという関係性であるという整理を僕の中でしていました。

ですが、たまに実家に帰ると机の上に僕が掲載された雑誌などが置いてあることがあります。僕から母親に伝えたわけではないのに、なぜか置いてある。

また共通の知り合いのディーラーの方々からも、「あの雑誌に出ていたの、お母様が自慢げに喜ばれていましたよ。」ということを聞いたこともあり、そんなシーンを通じて母親から息子への愛情や応援のメッセージが遠回しに伝わってくることが私にとってはすごく嬉しかったりします。未だに本人の口から褒められたことはありませんが(笑) そんな母親に育てられたのか、私も実は母親に面と向かって「ありがとう」という気持ちを、口に出して伝えたことが無いんだということに最近気づきました。

最大の恩返しとは何か

経営の傍ら美容師として現場に立ち続ける冨山氏。その姿は気づけば母親の働きぶりと同じだ。

 後に僕は結婚し、2人の娘に恵まれ、親という立場になってゆきました。まだ子供たちは5歳と2歳なので、将来はどうなってほしいとか、どうあってほしいとかいうものは具体的には考えられていませんし、親からこういう仕事についてほしいと願うのは違うかなと思っています。ですが僕の両親が僕に対して思っていたことと同様「やりたいことをやりたいだけやってほしい」という気持ちだけは強く持っています。

 僕自身にとって自分自身が結婚するとなったときに「僕が本当に親にしたい恩返しとはは何なのか」ということを突き詰めて考えたことがあります。それはお金でもなく、モノでもなく、僕自身や、孫の顔を見せに行けることが最大の恩返しなんだろうという結論に至りました。たまたま運命の出会いが重なって私の妻は同じ地元鹿児島出身であり、年末年始は両方の実家に長い時間いることができることが実現しました。

これが、わたしの恩返しという分野の「やりたいこと」でした。

今、コロナが騒がれて、実際に会いたい人と会えない方が増えているんだろうと思います。私に限らず、両親と会えない、恋人と会えない、家族と会えない。そういった経験を通じて、今は苦しいかもしれないけれども、これまで私達の日常であった「現実世界で会える」ということへの喜びを感じられるよい機会と捉えることもできることでしょう。

現実世界で人と会える価値。僕にとっては「親への最大の恩返しは何か」と考え抜いたときに見つけた答えと一緒でした。

仕事と家族。そろそろ家族を選んでほしいな。

僕自身も、母親に似てワーカホリックな側面もある。それによって妻に迷惑をかけたことも何度かありました。自分自身が家庭を持ち、そして家庭内でも妻と子供との生活においても幾つかの失敗や後悔などを通じて成長してきたつもりです。そこで感じるのは「仕事と家庭の両立」を完璧にどうこなせるかということです。

自分の母親には感謝しているけれども、同じような幼少期の寂しさは味合わせたくない。でも、経営者としては誰よりも情熱的に働くワーカホリックな姿は、プロの美容師としてお客様にみせてゆきたいですし、その背中を仕事の仲間たちには見せていきたと思っています。だから僕はこの母親から学んだワーカホリック精神と、そして家庭を最高に愛するパパとしての両立を今まさに目指している真っ只中です。

だから、母の日を通じて、1つだけ自分の母親に伝えたいことがあるとしたら、僕はこの言葉を選びます。

お母さん、こんな僕を育ててくれてありがとう。
でも、そろそろ休憩も大切です。これまで仕事に突っ走ってきた分。次は家庭を一緒に大切にしてゆこう。


冨山倫宏(TOMOHIRO TOMIYAMA
1978年鹿児島県出身。都内での美容室勤務を経て、2007年に独立、現在では東京都内で6店舗を展開するヘアサロン、Belleグループの代表を務める。サロンワークの傍ら一般誌、業界誌の撮影、講習、セミナー、ヘアショー、商品開発など活動は多岐にわたる。ストリート感あふれる若者テイストからナチュラルな女性に向けたカジュアルフェミニンなテイストも得意とし、トレンドに高感度なお客様やモデルから絶大な支持を集めている。


(c)PREPPY photo :Tetsuaki Nagao