「愛を伝えるラストワンマイル」|母の日ストーリーvol.5 杉山亜美

お母さんに「想い」を届ける日。 外に出られないこんな時だからこそ、「母の日」に何を贈ろうか、何を伝えようか考えてみて欲しい。あなたはどんな想いを伝えたいですか?母の日の過ごし方を考えるきっかけになればと、本日から数回に渡り、素敵な母の日ストーリーをご紹介します。 今回は、米国の大学で学んだ後に、コンサルティング会社等を経て2018年に日本とマレーシアにおいてSECAI MARCHEを設立した杉山亜美さんの母の日ストーリーをご紹介します。


自分で決めたことを絶対成し遂げると決めた私

私は学生の頃から、起業して自分の事業をすることは決めていた。

一生サラリーマンで人に仕えるのではなく、自分が事業主になってより多くの人の働きがいに貢献したいとの想いが強かった。

大学時代は米国で健康経営を学び、日本とは違った「働き方」を体験した。自分が就職し企業で働く経験をする中で、人の働きがいに貢献したいという想いはどんどん強くなった。

人生の中でいちばん多くの時間を費やすのは、働く時間、であるからだ。

小さい頃から、習い事をするときも、留学をするときも、就職をするときも、いつもわがままな自分の決断を後押ししてくれたのは家族だった。

母は「あんたはいつも何を言っても聞かないから」と言い、父は何も言わずにただ笑顔で送り出してくれた。しかしそれらがいちばんの後押しであった。

つなぐことの出来ない物理的な距離をつなぐ役目

現在、私が代表を務めるSECAI MARCHE(セカイマルシェ)は東南アジアの産地直送オンラインプラットフォーム事業を行っている。これは、日本や東南アジア地域の生産者と消費者(小売、飲食店舗、一般消費者)をダイレクトにつなぎ双方にビジネスチャンスを創出するプラットフォームである。

経営するSECAI MARCHEのメンバーたちと

これによって生産者はオンラインに商品を掲載するだけで、国内&海外の消費者に簡単に販売をすることができるようになり、一方で消費者は、プラットフォーム上でまとめて購入、決済をすることができるようになった。

現在、パンデミックのロックダウン中も消費者へ食品の供給が滞りなく継続するよう、生産者の流通を途切れさせないよう当社はマレーシア政府から許可を受け事業を続けている。

このロックダウンされているマレーシアにおいて、私達の使命は、 消費者へ食品の供給を滞りなく継続させることである。つい数ヶ月前までは、ふらっと取りに行けた距離が、何かを介さないと物理的な距離を埋めることはできない。その何かを介すというラストワンマイルが、私達の物流プラットフォームの持つ使命である。

つなぐことの出来ないものをつなぐ役目。それが私達の使命だ。

日本にいる母と私をつなぐ役目

私は学生時代から海外で勉強したり働くことが多く、両親と物理的に距離がある状況におかれることには、私だけでなく母親も慣れていたかもしれない。

だがそんな中、2年前に私達家族は父を亡くした。私自身もこの父の死のタイミングにおいては、日本と海外を行ったり来たりする中で、色々と考えることが多かった。私に限らず、生まれた母国を離れて海外で暮らす人間にとって、物理的な距離があるため、ある種受け入れなければならない宿命がある。

それは物理的に会えない苦しみだ。

会いたい人に会いたいときに会えない、という異国で暮らす私にとっての日常が、今ロックダウンを通じて世界中で起きているのだと悟った。

私達はビジネスを通じて、つなぐことの出来なかった需要と供給をつないでいる。では、私達の母と子の愛はどのように繋げばよいのだろうか。

コロナ禍の中、世界のテクノロジーは一気に普及し、ビデオ通話、動画配信、ECなどが驚くほどの勢いで進んでいる。まさにそういったテクノロジーはこれまでつなぐことの出来なかった人々を繋いでゆく、重要な役割になっていることは間違いない。

それでも物理的に会いたいという気持ち

杉山(右)と共同経営者の早川(左)

当然LINEやビデオ通話を使ったりして私も日本にいる母とコミュニケーションをとることが増えてきている。

「はたらきすぎだよ、少しは休みなさい。」
「ちゃんとご飯食べている?」

など、母は今でもいつも笑顔で気にかけてくれている。私の方が母のことが心配なのに。

毎年母の日やゴールデンウィークにはいつも日本に帰省するが今年の母の日は戻ることができなさそうだということがわかった。戻れないとわかるからこそ、ビデオ通話では届けることのできなかった価値に気づく。

一緒に同じ空間を共有すること。
一緒に同じ経験をして共感を分かち合うこと。
肌が触れ合うこと。

この時代を通して、私達はこれらの価値に気づいたんだと思う。テクノロジーでは乗り越えることのできない、愛を伝えるラストワンマイル。
ロックダウン、ソーシャルディスタンスなど、私達は生まれてはじめて物理的に人と会うことを制限された。今までの当たり前が失われた世界。だからこそ、本気で本当に愛が伝わる方法に気づくことができたのだ。

とれたての野菜を丸かじりする姿も写真だけでは、この味の素晴らしさは伝わらない。

そんなことまで、きっと分かってくれている母には、感謝しかない。

いつもありがとう。お母さん。

一緒に母の日ランチに行く代わりに、今年は花を贈ろうと思う。

花が散る頃にはまた会えるように、さぁいまを乗り越えよう。


杉山亜美(Ami Sugiyama
1986年静岡県出身。米国にて Exercise Science(健康科学)を専攻後、60か所以上の企業における健康増進やパフォーマンス向上・労働安全衛生活動の企画・実行を行う。2015年マレーシアにて起業、日本茶等の輸出入、飲食店経営を行う。その後、デロイトトーマツにおいて、東南アジアにおける日本産農産物の輸出拡大支援に従事しシンガポールにおける新規輸出拡大プラットフォームの構築、1年間で200店舗を超える小売店・飲食店の販売ネットワークを構築した。2018年に株式会社SECAI MARCHE設立、代表取締役に就任。